大川家具のルーツは何と室町時代？その歴史と伝統、魅力を解説！

日本六大家具産地の中でも日本一の家具生産量を誇る「大川市」そこで作られる家具は「大川家具」として日本産の高品質な家具として、全国で販売されています。

そんな大川家具のルーツとは？そしてどのように家具つくりの町として発展していったのでしょうか？その歴史はなんと室町時代にまで遡ります。

大川家具の歴史とは？

大川家具のルーツは、室町時代

※榎津久米之介 出典元：「ふるさと再発見！大川木工まつり2015ガイドブック」

大川家具のルーツは、1536年だと言われています。歴史はなんと、室町時代にまでさかのぼり、480年以上の歴史を持ちます。他の国内にある有名家具ブランドでも、「飛騨家具」は大正、「旭川家具」が明治、「静岡家具」や「府中家具」が江戸時代と言われていますので、比較すると歴然の差です。

そんな長い歴史を持つ大川家具ですが、開祖は、「榎津米之介」という人物です。

榎津米之助とは、室町幕府の十二代将軍である足利義晴の家臣、榎津遠江守の弟でした。もともとは、船大工をやっていたのですが、船大工の技術を生かして、家臣達に指物を作らせたのがきっかけと言われています。これが、「榎津指物」のルーツです。今は、「指物」と言っても、分からない方が多いと思いますが、指物とは、「釘などの接合させる道具などを使わずに、木と木を組み合わせて作られた家具」のことを言います。

「摂津指物」は、その後、家臣達によって代々受け継がれていったそうです。さらに、榎津米之介は、「元蓮寺」というお寺も建立するなど、多くの実績を残した人物であることが古文書に残されています。

江戸時代後期には「榎津箱物」が生まれる

「榎津指物」をさらに発展させたのが、江戸時代後期に榎津長町に生まれた「田之上嘉作」という人物です。この人物は当初、家大工をやりながら、建具の製作をしていました。しかし、優秀な細工人が福岡県の久留米にいると知り、すぐに弟子入りをします。そして、箪笥やキャビネットのような箱型の家具である「箱物」の制作を習得することができました。
その後、榎津に戻り、箱物の生産を行います。これが、「榎津箱物」のはじまりといわれています。田之上嘉作が亡くなった後も、息子やさらにその息子によって、唐木細工やオランダ家具などから様々な技術を学んでいきながら榎津箱物は受け継がれていき、広く発展していきました。

明治時代には「榎津箪笥」が生まれる

榎津箪笥 出典元：「ふるさと再発見！大川木工まつり2015ガイドブック」

明治10年頃になると、大川家具の独特のデザインや機能性を兼ね備えた衣装箪笥である「榎津箪笥」が生まれます。榎津箪笥の特徴は、

・とても大型の箪笥

・材質は、杉、桐、けやきが使われている。

・金具は、鉄、銅、真鍮が使われている。

・塗装は、素木・透漆・黒塗で仕上げられている。

このような特徴のある箪笥でした。

また、ひとつの箪笥を完成させるのにも

1.木挽きによる製材

2.金具製造

3.塗装技術

4.木工職

という4つもの工程があります。

木挽職による作業風景　出典元：「ふるさと再発見！大川木工まつり2015ガイドブック」

しかし、この4つもの工程すべてを一人の職人がやることはできませんでした。なので、4つの高い技術を持ったプロフェッショナルな職人達がそれぞれの工程ごとに制作をしていたのだそうです。このようにいわゆる「分担制」にすることで、とても価値の高い榎津箪笥に仕上がっていきました。

「家具生産の町：大川町」の誕生

日田からの筏流し 出典元：「ふるさと再発見！大川木工まつり2015ガイドブック」

明治22年に町村合併により、大川町が誕生します。大川町は、木材の材料が豊富でした。理由は、筑後川の河口にあったため、筑後川上流の木材の産地である日田地方からたくさん伐採された木材が流れてきたのです。例えばスギやヒノキなど、たくさんの木材がイカダに組まれ、大川に運ばれていきました。

また、木工機械などの技術の進歩によって、家具製品の販売先も大きく広がっていき、その結果として、町全体の1/4は木工関係者になるなど、「木工の町」として大きな発展を遂げていきます。

最新技術も続々と導入されていき、たくさんの精巧な家具が生産されるようになるのです。ついには、大川町が「家具生産の地」として全国的にその名を響かせるようになりました。

大正時代に「機械化」により画期的な生産力を発揮

導入された初期の木工機械　出典元：「ふるさと再発見！大川木工まつり2015ガイドブック」

大正時代になると、大川の木工業は、予想以上にたくさんの需要がありました。
そこで、その需要に対応し、家具作りの生産性を高めるために、京都大学教授の指導の下、「機械化」を実践しました。後には工場を完成させ、多くの木工機械も整備しました。
当時の木工機械と言えば、
・のこぎり
・帯のこぎり
・自動鉋（木材を削ったり、むらを取ったりして、加工する機械）
・自動角のみ盤（角のみを上下運動させることにより、各ほぞ穴を加工する機械）
などでしたが、当時としては、とても画期的で生産力を発揮するものでした。

昭和時代には、河内涼デザインの和ダンスが最高賞受賞

河内涼氏 出典元：「ふるさと再発見！大川木工まつり2015ガイドブック」

昭和時代になると、大川家具の評判はさらに加速します。
きっかけは、名誉ある賞を受賞したことです。工業デザイナーであった河内涼氏がデザインした和ダンス「引き手なしタンス」が「西日本物産展」において、最高賞を受賞したのです。
「引き手なしタンス」は都会的でセンス漂うデザインと、全国的に評判となり、大川を代表する家具として浸透していきました。

引き手なしタンス 出典元：「ふるさと再発見！大川木工まつり2015ガイドブック」

・昭和30年代後半になると、木工機械の更なる開発を行い、生産の近代化を進めていった。
・大川家具は、大川地区を中心に1100事業所が年間あたり70億円を上げるなど、大きな躍進を遂げます。

大川家具の魅力とは？

480年受け継がれてきた「熱い職人魂」を持った職人がつくる良質な家具

大川家具には、「職人ファースト」と思わせるような熱いコンセプトがあります。

“職人とは、熟練した技術を持つ人である。職人とは、こだわりを持ち最後まで諦めない人である。

職人とは、変化を恐れず挑戦しつづける人である。職人とは、使い手を想う温かいまなざしを持つ人である。家具づくりに携わる全ての人が”職人魂”を持つ。職人がつくる良質な家具、大川家具”（公式HPより引用：職人MADE 大川家具）

480年の歴史ある大川家具。妥協することない熱い「職人魂」が感じられるコンセプトです。

大川市では、「大川維新の会」という組織があります。この組織は、家具・建具・材木などの木工関連産業の若手経営者や技術者たちの集団です。「大川匠の世界コレクション」を開催するなどして、最先端の技術や居住空間の提案などをしています。

また、大川市では、伝統を生かした付加価値のある製品が作れる職人を増やそうと、商工会議所で「大川家具職人塾」を開講しています。

近年、家具は機械の発達による大量生産、海外の安い輸入家具が大量に出回るのが当たり前の時代になってきております。

この塾の開講によって、

・確かな技術がある職人を一人でも増やしたい

・伝統ある製品が作れる技術の伝承をしたい

・そして、高い技術で高品質な家具をたくさんの人に使ってほしい

などの熱い思いがあるのだと思います。

このように、職人気質のある方々がたくさんいる大川市。「職人魂」が代々受け継がれているのをひしひしと感じます。

大学生との積極的なコラボ「大川プロジェクト」とは？

「大川プロジェクト」とは、2012年から大川の企業12社と九州産業大学の学生で「商品開発」や「プロモーションビデオ」の制作を行うプロジェクトのことです。

何度ものミーティングを重ね、デザインを決定。その後、企業が試作をして展示会を行い、「商品化」に近づけていきます。そして、その結果として大学生の斬新な発想や創造力が溢れた商品が開発されています。大川家具では、大学生とのコラボプロジェクトの他にも、長崎県の阿佐見焼きや富山県の高岡鋳物との歴史ある業界とのコラボも行っています。このように大川家具は、伝統を守るだけでなく、新鮮な風を吹き込むような家具作りにも力を入れていることが、魅力の一つと言えるでしょう。

ネコ用の家具「ネコ家具」まで作ってしまう斬新な発想

最近では、ネコ用の家具を作っています。

ネコ用ソファー・ベッド・ツリーベンチ・階段タンスなど・・・

ネコが気持ちよくくつろぐことができるように、職人がつくっています。

ネコ用だからといって、手抜きをすることはありません。厳選した木材を使って、職人の卓越した技術で、ひとつひとつ丁寧に作っているようです。ネコ用とあってサイズは、かなり小さな物が多いですが、職人の技術力があってこそ、作れる「ネコ家具」。

斬新な発想ではありますが、大川家具ならではの取組だと感じました。

テレビCMでも流れており、これから「ネコ家具」が大きく認知されていくかもしれませんね。

家具の一大産地「大川」で生産した「Made in Japan」品質！

こもれび家具は大川市三丸に工場を持ち、そこで日々職人達が技術を駆使して丁寧に家具を生産しています。妥協を許さない真っ直ぐな職人達が、素材本来の良さを生かす質の高い家具の生産を目指しています。また、生産だけではなく、⻑年の家具作りの中で築き上げた、大川市近隣の信頼できる資材業者から、厳選された材料を調達し製作しています。
そうして生産された家具は、商品の細部まで目を光らせ、外観や内装などを一品ずつ細かく丁寧に検品し、お客様のお手元にお届けしています。詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

480年以上も歴史のある大川家具についてご紹介してきました。
最初は、船大工の技術から接合道具を使わずに木と木を組み合わせて作る「指物」からはじまり、「箱物」や「箪笥」と発展してきました。そして、たくさんの方々の知恵や努力により、今日の「大川家具」があります。最近では、現代に合ったインテリアとなるように大川の異業種の方やデザイナーとのコラボプロジェクトや大学生とのプロジェクト、さらにはネコ用の家具など、斬新な取組も行っています。
いつまでも伝統を守りつつ、新しい形の家具作りにも挑戦している魅力的な家具メーカー「大川家具」の紹介でした。